2005年 会長年頭所感

■財団法人 素形材センター 会長 濃野 滋 

 2005年の新年を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 さて、鋳造業を始めとする素形材産業は、わが国機械工業の基盤であり、日本経済における重要性は極めて大きいものです。

 素形材産業を取り巻く経済環境は、1990年代以降、長期の景気停滞の中で厳しい状況が続いていました。しかし、景気は、2003年秋に「持ち直しに向けた動き」に転じた後、昨年は、ほぼ一貫して「堅調に回復している」と評価されました。ただ、原油価格の動向、世界経済の動向等、先行きは未だ不透明な所があり、予断は許さないようですが、取り敢えずは誠に喜ばしいことです。
 このような当面の景気回復の動きとは別に、我が国経済は、中長期的に、人口減少と高齢化、グローバリゼーションの進展と国際競争の激化、エネルギー環境制約の高まりなどの大きな環境変化に直面しています。

 国際競争の面では、中国等のアジア諸国が近年急速に発展し、従来の欧米企業との競争に加え、新たな局面の「グローバル・コンペティション」が益々激化しています。素形材のユーザー産業である機械産業では、生産拠点の海外進出に加え、国際的な企業提携等、また部品調達のグローバル化を一層進展させています。素形材企業は、従来、系列取引に依存してきたため、ユーザー企業の海外進出と調達のグローバル化により、大きな影響を受けてきました。更に、近年では、中国等の素形材企業の水準向上により、輸出品の代替に加え、我が国への素形材輸入も増え、直接的なコスト競争に曝されています。

 経済産業省においては、経済社会の新たな発展を達成するためには、イノベーションを通じた競争力ある産業群の創出が重要であるとしています。このイノベーションの活性化のために、昨年5月に同省で取りまとめられた「新産業創造戦略」では、現場レベルでの擦り合わせや柔軟な生産管理プロセス等、我が国の強みを活かして行く方向が指摘されています。この方向は、我が国素形材産業の最大の優位とされている所です。

 このイノベーションの基盤整備の観点から、経済産業省の2005年度政策の柱の一つとして、人材の育成があげられており、非常に期待されます。

 素形材センターでも、素形材人材育成のため、研修講座、セミナー等の事業を行っています。特に、昨2004年夏には、「素形材技術実践研修講座」ビデオ全集(全111巻)を発表しました。同研修講座は、過去42年間にわたり年間約百日間実施されていたもので、今回、2003年度の同講座の大半を、ビデオに収録、編集しました。素形材企業、大学/研究機関、ユーザー企業(設計、調達部門)での教育に活用されることを期待しています。

 素形材センターでは、この他にも各種の活動を進めています。本年についても従来と同様、素形材産業関連団体を緊密に連携をとり、グローバル・コンペティションの下での素形材産業の発展に尽力したいと考えております。

                (商経機械新聞 17年1月1日号掲載 転載許可済み)
■日本工作機械輸入協会 会長 近野 通明 
 
 明けましておめでとうございます。
皆さんと共に新しい年を迎える事が出来ますのはご同慶の至りで、あらためて各位に対してご祝詞を申し上げます。

 振り返りますと昨年は年初より市場からの引合いが活発化し比較的納期の長い輸入機器の通関実績にも表れて参りました。1年を通じて内需の予想は上方修正を重ね1月〜10月の輸入通関金額の累計は昨年1年分を1割も上回りました。 この数字から昨年の切削型工作機械(ドライエッチングマシンを除く)の輸入高を予測致しますと前年比30%増の456億円に達したものと思われます。特に研削盤が33%増の87億円、レーザー応用機器が44%増の131億円と好調でした。更に、鍛圧機械は25%増の125億円、切削工具は20%増の500億円、ワーク・ホルダー、ツール・ホルダー、付属機器、補修用部品等は19%増の736億円と何れも好調に推移致しました。このように、我が協会々員が取扱う工作機械を始め周辺商品の輸入が伸びた事は輸入品に対する各位のご支援の賜物であり、年始に当り改めて厚く御礼を申し上げます。

 そんな中で、9月にはシカゴで開かれたIMTSショーへ輸入促進ミッションを派遣し、更に11月に開催されたJIMTOFにおいては全体の10%近い約500小間の展示スペースに最新の技術を誇る輸入機械とその周辺商品を展示致しました。展示品がその場で売約する例が散見され、 成功裡に展示会を終える事が出来ました。 

 今年は民間設備投資の好調が持続する事を期待する一方では最近の円高や欧米の景気低迷、我が国産業の空洞化、工作機械調達のグローバル化、それに伴うサービスの広域化等我々業界が対処すべき問題は益々高度化且つ複雑化して参ります。 この様な市場の動きに適応しつつ、我々は海外のメーカーと日本のユーザーの間に立って相互協力のもとに我が国「ものつくり」業界の発展に貢献して参ります。 更にメーカーと一体となったサービス態勢を構築し各ユーザーの満足度の向上を計る所存です。

 今年、日本工作機械輸入協会は創立50周年を迎え、 記念誌の発行と祝賀パーティーの開催を計画しております。 又、9月にハノーバーで開催されるEMOに輸入促進ミッションを派遣し技術的に優れた輸入機器の発掘に努めて参ります。 前述の様な環境下でこの節目の年を祝えるのは有難く感謝すると共に今後ともバランスのとれた業界の発展に寄与すべく全力を挙げて取り組みますので何卒宜しくご指導ご鞭撻の程をお願い申し上げます。                        
         (商経機械新聞 17年1月1日号掲載 転載許可すみ) 
■日本小型工作機械工業会 会長 清水 哲 
   
 年頭にあたり、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。

 本年は業界にとって久々に好況下での新年となりました。工作機械の受注は2002年11月より前年対比でプラスを続けており 昨年の受注総額は1兆2千億円程度までに回復しております。当工業会におきましても昨年の出荷高は前年対比130%、760〜800億円と1990年代初頭のバブル期に次ぐ数字が見込まれます。バブル期以降における低迷期の規模の縮小や低価格機の普及などを考えると、実質的にバブル期以上の繁忙感があるのではないかと思います。しかしながら、一方でバブル期のような高揚感が無いというのも実感ではないかと思います。昨年の初めころから顕在化してきた素材の品不足と値上がり、残業の増加によるコストの上昇、一方で低価格に対するユーザーからの強い要求の板ばさみになり、収益構造の根本的な改善が進まないことなどが大きな問題だと言えます。

 昨年の過熱気味ともいえる受注状況から今年はやや落ち着いた水準になるのではないかと言われていますが、ユーザーからの高精度化、多様化などの要求はますます高まってくると思われます。また急速に力をつけつつある中国、韓国や東南アジア諸国との競争も激しくなってくると考えられます。 
このような中でモノづくりの基礎である設備を供給する工作機械業界各社の基盤の強化は絶対に必要なことだと思います。当工業会におきましては工業会活動や情報交換などを通じて会員各社の企業基盤の強化をはかり、モノづくりに対してその一端を担い続けていけるように取り組んでいかなくてはならないと考えています。

 最近の設備の小形化、高精度化に対する要求は 本来日本小型工作機械工業会の会員各社がこれまで追求してきた方向に一致するものであり、いわば得意分野と言えます。これらの技術に更に磨きをかけ、モノづくりの高度化、超精密加工分野への挑戦を通じて社会へ貢献できるよう努力をしていきたいと思います。

 本年も会員および関係各位には、一層のご協力とご理解を賜りますよう心からお願い申し上げますとともに、本年が皆様にとりましてさらなるご発展、ご活躍の年となりますことを祈念いたしまして新年のご挨拶といたします。
 
  (商経機械新聞 17年1月1日号掲載 転載許可済み)  
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■超硬工具協会理事長 徳永 昭大 
    
 あけましておめでとうございます。

 昨年度は年初から工作機械、自動車業界、IT産業、など多くの業界で活況を呈し、日本経済は久しぶりに好調に推移しました。その中で、超硬工具業界は国内に加え、輸出も好調で出荷額は10月まで対前年同月比26カ月連続のプラスとなり、年度通期では2550億円を上まわる見込みです。この結果、03年度に続き、2年連続の2桁増、過去最高の記録更新は間違いない状況で、明るい新年を迎えることができました。

 一方、今後の動向を見ると、昨年末から、原油の高騰、ドル安円高の流れ、中国の金融引き締めなど、国際経済の潮流に徐々に変化が現れており、日本経済に大きな影響を与えることが危惧されております。当業界でも、受注残の消化で、05年3月までは高水準の出荷が続くものの、4月以降は下降局面に入るとの見方が大勢を占めており、経営としては難しい舵取りを迫られるものと思います。

 しかし、そうした中で、国内のみならず、中国や東南アジア等海外に向かっても、世界最高水準のもの作りを目指して、積極的にチャレンジされているお客様に対し、超硬工具業界としては、これまで以上の高付加価値工具を提供し、03年、04年に続く3年連続の活況を期待したいものです。

 また、昨年は協会として、技術功績賞をJIMTOFで紹介したり、超硬エンドミルの国際規格案策定、米国フロリダでの「世界切削会議」にも参加し、協会活動を対外的、グローバルにアピールしてきました。

 こうした技術開発の分野で、会員相互で切磋琢磨すると共に、規格や環境問題等協調すべきところは国内のみならず、国際的にも協調して、業界の技術水準を高める活動を今後も積極的に続けたいと思っております。

 私が応援している東芝府中ラグビー部の今年のテーマは「Challenge、Oneself」です。これはチームが強くなるためには、一人一人が強くならなければならない。そのためには、自分の強み、弱みをよく知って、自らにチャレンジし、強いところは更に強く、弱いところは鍛えて、自分を強くし、チームとして、№1になろうというねらいです。

 当協会においても会員各社が自らにチャレンジし、更に強くなることが、業界全体を強くし、発展させるとの考え方で、理事長の責務を果たしたいと思っております。
関係各位の本年のますますのご活躍、ご繁栄を祈念いたしまして、年頭のご挨拶といたします。
 
     (商経機械新聞 17年1月1日号掲載 転載許可済み) 
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■社団法人日本機械工業連合会 会長 金井 務 
  
  
  謹んで新年のご挨拶を申し上げます。皆様におかれましては、気持ちも新たに新年を迎えられたことと思います。

 年頭にあたり、平素より日本機械工業連合会にお寄せ頂いております皆様の暖かいご指導とご支援に対し、心から御礼申し上げます。

 昨年のわが国の経済は、輸出と設備投資が牽引し、個人消費が下支えする構図となっておりましたが、米国を始めとした海外経済の減速や投資の一巡により後半から減速が顕在化してまいりました。昨年12月に内閣府が発表した2004年7-9月期の国内総生産(GDP)は、算定方式を変更したこともありますが、年率換算で0・2%増となり、成長率はかろうじてプラスとなりました。原油などの原材料の高騰、ドル安など不安定要素が出てきており、景気は05年度にむけて減速感が出てまいりました。しかし、今回の景気循環は90年代のバブル崩壊による「失われた十年」の時代と異なり、金融不安は一旦後退し、より「健全」なものになるのではないかと期待を込めて考えています。ただし、その代わりにグローバルなリスク要因は増え、競争は以前にも増して厳しいものとなってくると予想しております。

 日本の景気は輸出と設備投資が牽引していると申し上げましたが、わたくしども機械工業は日本の輸出総額の約70%を占めております。国際競争力のある工業製品なくして日本の経済の成長はありえないと確信いたしており、日本が競争力の源泉とすべきものは技術革新だと思っております。昨年の10月に「ダボス会議」を主催する世界経済フォーラムが「2004年世界競争力報告」を発表いたしました。これによれば日本は昨年の11位から9位に順位を上げております。上位10傑に返り咲いたのは1995年の4位以来9年ぶりとなりました。なかでも日本の「技術力」は昨年と同様に第5位と高く評価されています。ようやく日本の製造業が復活の兆しを見せ始めたのではないかと考えています。

 その証拠に、90年代を通してわが国は生産コストの安価なアジアを中心とした発展途上国に生産拠点の移転を進めてまいりましたが、最近、高付加価値の製品は日本で行うなど、製造業の「国内回帰」が見られます。こうした動きが、日本国内での設備投資を下支えすると言われます。そのためには国内で技術革新を絶えず実現し、ひと味違う独創的なテクノロジーによる国際競争力ある工業製品を開発し、作り続ける必要があります。また製造会社としての「ものづくり」にこだわり、その力を蓄積し、継承することも大事であると考えます。この点は中国より勝る日本の強みではないかと思います。このたび、官民共同でものづくりにかかわる人材を表彰する「ものづくり日本大賞」を創設することになっております。当連合会も経済産業省関連の事務局を仰せつかることとなり、ますます日本の「ものづくり」が注目を浴びてくることとなると思います。

 「ものづくり」の一環として、もう一つ忘れてはならないことは機械安全です。現代社会に重要な役割を果たしている機械類が社会生活の安全を脅かす原因となることを未然に防止することは、機械工業界にとって重要な課題であります。当連合会は機械安全に係る国内審議団体として、国際規格をJIS化するための提案や、国際規格への新規提案に向けた技術開発活動を行って参りました。本年度は、従来よりも増して機械安全に関する人材育成、機械安全の水準向上などの活動を積極的に行うために、機械安全戦略の策定・実行を事業活動の柱のひとつとして位置づけたいと思っております。

 皆様におかれましては、厳しい事業環境が続く中でご苦労が多いことと存じますが、日本機械工業連合会といたしましても、新たな時代に求められるニーズに対応し、皆様とわが国産業界の利益のために誠心誠意努力を続けたいと存じます。最後になりましたが、今年も皆様の一層のご活躍とご健康を心から祈念申し上げます。
 
  (商経機械新聞 17年1月1日号掲載 転載許可済み)
■社日本工具工業会 理事長 竹内 丹 
  
  新年明けましておめでとうございます。

 わが国経済は、好調な外需と旺盛な設備投資に支えられて堅調に推移してきましたが、昨年7-9月期以降、米欧向け輸出の減少、IT関連設備投資の縮小など、一部に弱い動きがみられることから、景気の減速が懸念されています。米国・アジア経済や原油価格・為替レートの動向など世界経済の先行きに不透明な要素が多く見られますが、日本経済が今回の微調整を経て、再び回復軌道に乗ることが期待されています。

 このような環境のもと、04年度の特殊鋼工具の生産は、近年の減少傾向から回復し、前年度比7・6%増の891億円に達すると見込んでいます。なお、04年度工具工業会会員の超硬製品を含む切削工具の生産は、前年度比12.3%増の1134億円に達すると予想しています。

 最近の切削工具の需要は超硬製品の伸びが顕著であります。特殊鋼工具と超硬工具の生産の推移をみると8年前の96年度の特殊鋼工具の生産割合は33・2%でありましたが、04年度は25.8%へと低下しました。この間毎年1%程度シェアーが低下していることになります。この低落傾向は、需要業界のニーズと素材特性が持つ品質性能から止むを得ないところですが、新たな着想と技術開発努力によって特殊鋼工具の新製品を生み出し特殊鋼工具の復権が期待されます。

 新年に当たりまして今年の日本工具工業会の取り組みを申し上げます。

 第1は、環境問題への取り組みであります。

 環境問題に積極的に取り組む企業の製品が市場で高く評価される時代を迎えています。理事長に就任後工具工業会として本問題に取り組むこととし、環境委員会を設置し早速04年5月特殊鋼工具のMSDS及び同年11月合金鋼工具のMSDSを作成公開するなど着実な成果を上げ、今年も引続きMSDSの英文版の作成、グリーン調達など積極的に取り組んでまいります。

 第2は、国際標準化の一層の推進であります。

 超硬ボールエンドミルの新規ISO規格作成のため超硬工具協会と共同作業の継続実施、ドイツ提案ラジアスエンドミル規格制定作業への参画など内外の標準化に積極的に進めてまいります。

 第3は、統計データの整備及び迅速な提供であります。

 工具工業界の生産額や出荷額のデータや情報は会員企業・関係者にとって必要不可欠であります。最新のデータを適時かつ迅速に提供することが望まれています。引続き迅速なデータ情報の提供に務めてまいりますので、関係各位のご支援とご協力を賜りたくよろしくお願い申し上げます。

 平成17年の新年を迎え、皆様方の一層のご活躍とご多幸を祈念いたしまして年賀のご挨拶とさせていただきます。
 
      (商経機械新聞 17年1月1日号掲載 転載許可済み) 
■社団法人 日本工作機器工業会 会長 三木 治一 
  
  新年を迎え、心よりお喜び申し上げます。

 皆様には、新しい年を新しい決意でお迎えのことと存じます。

 昨年は、景気の回復基調のもと、好調な輸出と旺盛な設備投資という当工業会を取り巻く環境の好転により、会員皆様には長い苦渋続きの顔にもいくばくかの微笑が見られる状況ではなかったかと推察いたし、ご同慶の至りでございます。

 でも一方では、酷暑、台風、豪雨、そして地震という自然の猛威と対峠しなければならない年でもありました。とりわけ、新潟県中越地震におきましては、会員6社の工場等が被災されました。あらためてお見舞い申し上げますとともに、早々に復興されましたこと、その心労とご努力には敬意を表したいと存じます。

 さて、今年はどんな年でしょうか。昨年からみられた円・原油・原材料の「三高」に加えて、変調の兆しがみられる中国や米国の動向など、懸念される材料は多々あります。が、私は悲観視していません。大筋として、今年は昨年の景況が持続されるであろうと思っています。ただ、病み上がりの日本経済だけに、決して平坦なものではないと考えています。

 それだけに今年は、景気の動きを冷静に睨みながらも、それに一喜一憂することなく、至上課題である強靭な企業体質の構築に努めることが大事ではないでしょうか。と同時に、多様・高度化するユーザーニーズ・ウォンツに視点を置いた新しい発想、新しい技術による「ものづくり」に取り組み、ユーザーに新しい確かな価値を提案することが肝要だと思っています。

 本工業会が、こうした状況に対応して、会員皆様のお役に立つ情報と場をいかに提供するか。関係各位のご協力をいただきながら、懸命に取り組む所存です。会員皆様、関係各位には、本年も一層のご支援とご指導を賜りますようお願い申し上げます。
 
  (商経機械新聞 17年1月1日号掲載 転載許可済み) 
■日本工作機械販売協会 会長 石川 正治 
  
  新年明けましておめでとうございます。
皆様におかれましては清々しい気持ちで、良いお正月をお迎えになられたこととお喜び申し上げます。

 昨年は、私共工作機械業界に関わるものにとりましては、大変恵まれた良い年でありました。年初、9500億円程度と予想されました暦年の年間受注額は最終的には1兆2000億円を超えたようです。これはバブル期に1兆4000億円強を記録しました1990年以来最高の数字になります。2002年10月からの月間受注額は昨年11月まで26ヵ月間連続して、対前年同月比プラスと活況裡に推移しております。 10数年振りに工作機械業界に訪れた好況と申せましょう。 

 昨今の受注が好調な原因は各方面でいろいろと指摘されておりますが、中国を筆頭とする東南アジア諸国の急速な経済発展に伴う影響、自動車産業の好調、デジタル家電の伸張等が主たるものに挙げられると思います。加えまして、ここ暫くの間多くの企業が抑え、見送られてきた設備更新が再開され始めたことが大きいのではないでしょうか。 古い機械では要求される製品が造れない、あるいは新しい機械に比べコスト、精度などで太刀打ちできなくなって来ているように見られます。近年、工作機械はメーカー各社のたゆまぬ努力でユーザーの方々が想像している以上に大きく進歩しているという面があるのではないでしょうか。 

 最新鋭機の購入、導入が利益を生み出し更なる設備更新需要に繋がっている現実があるように思います。 結果的にユーザーからの短納期要求が一段と強くなっているように感じられます。

 世界を見渡しますと、局地的な紛争やテロ対策の意見相違などを内蔵しながらも概ね安定した政治情勢が続いてまいりました。経済面でも原油価格の不透明さ、原料価格の高騰、ドル安、元の切り上げ問題など先行きを懸念される点は多々ありますが、声高に通貨危機、金融不安などが取り沙汰されることはなく、表面的には穏やかな一年であったように思われます。日本においても、政治、経済や社会面で眦を決して議論するような事態は発生しませんでした。昨夏の衆議院選挙の結果にも表れたとおり、現状の政治に100%満足ではないが、取り敢えずはこの路線を進んで行こうといった考えが多数のようです。 内外とも急激な変化を望まないゆったりした環境にあるように見えます。

 こうした中、今年の工作機械業界も比較的安定した業況で推移し、年間受注額は1兆円前後になると予想しております。日工販会員各社並びに日工販にとりまして今年は、その役割を十分に発揮するチャンスではないかと考えます。メーカー・ユーザー間の利害調整やスムーズなコミュニケーション推進に力を尽くしていくのは勿論ですが、メーカーやユーザーの発展に有用な情報を提供しつつ、日本のもの造りに積極的に参加していきたいと思います。 その過程で、一段とパワーを付け、より魅力ある日工販にしていければと念じております。

 今年は各委員会、地区、SE教育事業などの従来からの活動を更に活発化させる一方、日工販のパワーアップに結びつくような新しい試みにも挑戦していけるよう一層の努力をしていきたいと考えております。 協会に対しましてのご理解とご協力を改めましてお願いする次第であります。

 最後になりましたが、この一年が皆様にとりまして明るく、素晴らしい年になりますようお祈り申し上げ、年頭のご挨拶とさせて頂きます。
    (商経機械新聞 17年1月1日号掲載 転載許可済み) 
■社団法人日本鍛圧機械工業会 会長 御子柴 隆夫 
  
  新年おめでとうございます。旧年中は業界の発展振興に格別のご指導、ご協力を賜り衷心よりお礼申し上げます。本年も相変わらずのご支援を賜りますよう年頭にあたりお願い申し上げます。

 鍛圧機械業界は国内、海外の設備投資の増加に支えられて昨年は前年を3割方上回る受注実績を上げ、新年を迎えることができました。まだ過去最高の水準までは達しておりませんが、受注の内容を見ますと、国内の設備投資が増加し、輸出ともども堅調に推移した事が今後の景況を占う上での好材料になると判断しております。

 この背景には、主要需要先である自動車、電子・電気機器業界の活況がありますが、会員各社が新材料の加工や高精密・微細加工のできる機械を開発すると共にサーボモータを搭載した斬新なプレス機械を市場に提供したのも受注が伸びた切っ掛けとなっております。また輸出については自動車関連企業の海外進出ならびに外国企業のモータリゼーション化に伴う受注も増加し、前年を2割方上回るほどわが業界の強みを発揮しております。

 しかし企業経営の面から見ますと、鋼材の高騰で利益体質は悪化の傾向をたどっております。それに加えて昨年末から急激な円高が進み、今後の見通しは明るい場面ばかりでない難しい環境になってまいりました。いろいろな機関の調査によりますと、新年度は1-2%の経済成長を見込んでおりますが、国内外ともに予断の許されない課題を抱えておりますので、現段階では現在の景況が本年も持続して欲しいと期待しているところでございます。

 業界といたしましては、月並みですが、需要先業界のニーズを先取りする形で新技術、新商品の開発に挑戦し国内市場の掘り起こしに取り組んでまいります。同時にアジア市場では政治、経済を含めまして連携、協調の機運が高まる兆しがございますので、同市場における業界の果たす役割を認識し積極的な事業を展開したいと思っております。

 最後になりましたが、本年もわが国産業界が健全な発展成長が持続することをお祈りすると共に物づくりに関連する業界の伸展を祈念し、年頭の挨拶といたします。
    (商経機械新聞 17年1月1日号掲載 転載許可済み)