IDOメールマガジン18号目次 

  
日本金型工業会、
芝浦工業大学と「金型学科」設置で合意

 3月2日、金型工業会(会長:上田勝弘氏)は、かねてからわが国の金型人材の育成のために、大学に金型教育の場を設置して、新しい構想で21世紀のアジア金型産業のリーダシップを取れる高等金型教育の構想をもっていたが、このほど、芝浦工業大学に金型学科を設けることについて、大学との合意が出来たの受けて、2005年度から
開講に向けて本格的な準備に動きだすことになった。

◆金型学科構想◆

1)All-Japan体制での金型関連ものづくり人材育成として
 ・東京都心での大学・金型学科設置
 ・金型産業・金型技術の拠点作り
 【芝浦工業大学・田町校舎におく】
2)恒久的な金型関連工業会と大学との連携
 ・次の世代に受け継がれる知的基盤と連携
 ・日本社会における確固たる体制の確立
 【未来のものづくり社会への大同】
 ・金型関連工業会・工業組合連合と大学連合との協定
 ・協力体制による金型学科支援・開拓活動 

◆金型学科構想の基本理念◆

1)双方向の人材育成
  大学と工業会とがそれぞれの特徴を生かし、協力して高等教育
 を実践する(「経済産業省・ものづくり人材育成」に反映)。
2)金型知識プラットフォームとしての学際工学
  開拓者精神と知識とをもった次の世代の金型技術者・技能者が
 持つべき金型知識基盤を広がりのある体系として教育する(「文部
 科学省・内閣府の新規教育プログラム」に反映)。
3)大学と工業会・工業組合との社会連携
  金型関連産業を担う社会人教育並びに起業化を、大学と関連工業
 会・工業組合が連携して実践する(「厚生労働省・社会連携プログラ
 ム」に反映)。

◆金型学科設立・運営のための基本戦略◆

1)専修コースとしての金型学科
 ・3年次+4年次の専修コース(2年間)
 ・金型学科卒業証明
2)学際教育からの産業クロスオーバー
 ・俯瞰的な視野からの創造と実行的な技術判断による実践とが
  バランスした教育
 ・学際的な創造教育から金型知識の高度化・広域化・先鋭化など
  多様な金型技術展開・金型ビジネス発展が実践できる場の提供
3)現場高度技能者の大学教育参画
 ・実習・実験に用いる設備の機種選定から教科書作成までの教育
  プログラム化
4)金型学科を核とした産学社会連携

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 金型人の育成について、韓国ではすでに大学教育が実践されかなりの卒業生を輩出している。中国でも上海交通大学、大連理工大学、清華大学、四川大学等30数箇所で金型人材を育成している。
 しかし、わが国でもやっとモノづくり大学が設立されるようになったが、金型については無視されてきた。アジア諸国が国家レベルで金型技術者の養成に熱心であるの対して、わが国は取組みがなされていなかった。
 上田会長は、日本が製造業でしか生きていけないと言う認識がありながら、政治も行政も大学も「職人芸」的金型技術に関する認識しかなく、金型が先端技術と結びついたものという認識が乏しい現状を見て、金型工業会として主体的に取組み、金型のユーザ業界、工作機械・鍛圧機械・工具・鋼材・CAD/CAM等関連業界とも協力して、金型100年の教育基盤を構築する運動を提唱して、若い技術者や技能者育成に力を入れることになった。