IDOメールマガジン030号目次

記者会見

◆「NPO・アジア金型産業フォーラム」発足
グローバル化する金型産業支援を目指す〜

 アジア金型産業フォーラム(東京都文京区本郷4-12-16、トーア文京ビル、理事長・黒田彰一氏)は、3月25日、午前11時から、東京駅前の日本工業倶楽部で、内閣府内閣総理大臣から3月16日に「特定非営利活動法人アジア金型産業フォーラム」として、認証を得た事を受けて記者発表を行った。

 ものづくりのマザーツールとして重要な金型産業が、自動車業界・電機産業界の海外移転アジア諸国の技術力が向上する中で、熾烈な外部環境に対応できない中小金型産業をいかに支援できるのかという発想から、金型産業に関連する有志が2年前から議論を重ねてきて「NPO」を立ち上げる準備をしてきたが、内閣府内閣総理大臣から正式認証得た後、3月25日に登記を完了した。
 21世紀のアジア地域が、製造と販売の基地として注目され始め、アジア市場に隣接するわが国は、欧米以上に有利な背景を活用して自動車産業はタイ、中国へ、家電を始めとする電気・電子はアジア各地に進出してきた。また、欧州や米国のビッグビジネスもアジアを最後の投資地域として、「製造と市場」獲得という二つの目的で、厳しい競争が繰り広げられている。

 ここにきて、海外展開する日本企業からの仕事量減少の影響やアジア諸国の金型技術のレベル向上、さらには韓国金型企業の海外展開、アジア諸国の華僑ビジネス等の活躍で、わが国の金型産業は次第に厳しい状況を迎えている。

 金型産業の興亡は、絶えず新製品の開発・研究とともにあり、それぞれの国に新しい製品が開発できる産業が存在しているかどうかがキーポイントになっており、戦後のわが国は、JAPANブランド確立のための努力の歴史であり、その歴史を支えてきたのが、超零細企業群の「金型産業」といわれている。

【設立の背景】
 日本のものつくり産業は大きな岐路に立っている。グローバル化する社会の中での製造技術基盤(Monozukuri)をわが国から発信するには、これまでの先鋭化した技術開発に代わって、複眼的な視野でものつくりの手順を吟味し、多様な要件の下で生産様式を最適化し、広いネットワークの中で運用をはかることのできる技術基盤の育成、応用展開が必要となっている。この柔軟性を求める戦略の実施には、異なるバックグラウンドを持ち、ものつくり基盤創成に熱い情熱をもつ個人の結集が相応しい。

 特定非営利活動法人アジア金型産業フォーラム(ADMF:Asian Die and Mold Forum)は、既存の縦割り機能では調整に時間がかかるプログラム課題を、組織横断的な機能により、企画・立案から実践までをプロジェクトとして行う。ADMFに参加する個人の発案を起点とする
プロジェクト実施から、セミナーあるいはシンポジウムを介しての金型業界の緊急課題や中長期テーマの検討や提言までを行い、金型業界と関連が深い政府機関、学会、工業会あるいは各メーカーとの連携ができる水平思考展開を目指す。

【ADMFの目的】  
 ADMFは、金型産業に関わる法人の補助を得ながら、新しいものつくりに共感し、多様な経歴をもつ個人の方々の連携により、プロジェクトを立案し、官民からの補助金助成金・寄付金などの拠出金をもとに当該プロジェクトを推進しながら、これまでにない人の輪を創出するともに、プロジェクトの成果を広く社会にも還元する。特にアジアの中へのわが国金型技術の展開により、21世紀の生産拠点であるアジアで活動する金型関連企業をサポートすることを目的とする。さらに将来、財政基盤が確立できれば、国際金型協会(ISTMA)あるいはアジア金型工業協議会(FADMA)の事務局としての役割を任じ、次世代のアジア金型産業のあり方について研究、提言を行うアジア金型産業研究所(アジアのシンクタンク)の機能を果たす。

【会員と年会費】   
会員は「正会員」、「法人会員」の2種類がある。   
・正 会 員:この法人の目的に賛同して入会した個人 (会費:5,000円)       
法人会員:この法人の事業を賛助するため入会した団体 (会費:1口20,000円)

【当面の事業計画】
 原則として、複数の正会員が企画立案し、理事会で承認されたプロジェクトとして各種事業展開を行う。以下に現在企画段階にある事業例を示す。 

■アジアへの金型技術移転教育プロジェクト   
−現在、(財)海外技術者研修協会(AOTS)あるいは(独)国際協力機構(JICA)を通じて、個人的つながりとして実施してきているアジアへの金型技術移転プログラムを組織的に実施し、アジア圏における金型産業人ネットワークを確立して、日系企業も含むアジア金型企業を支援するプロジェクトを立案、推進する。 

■金型マイスターバンク・プロジェクト   
−高齢、リタイア技能者の地位向上をはかるとともに、若年技能者への技術継承、金型つくりの国際分業などにその潜在能力を生かすプログラムを企画中である。「金型つくりは面白い」を合言葉に、プロジェクトを実施していく中で人の輪を構築していく。 

■金型関連用語・翻訳システムプロジェクト    
−海外からの発注、各種技術情報の交換、効率よいメンテナンス実施など、日本語以外での技術情報を受理、発信する機会が多い。インドなど先進英語圏の協力も視野に、金型専門用語の英語への適切な翻訳、金型技術書の自動翻訳補助など、各メーカーが人手をかけずに効率よく作業を実施できる環境機能を開発する計画である。 

■金型MOTプログラム・プロジェクト 
 −これからの金型メーカーが必要とする金型技術力開発とビジネスモデル展開に関する社会人教育プログラムを工学系大学院と協力して開発し、共同で教育プログラムを運用する。特にインターネットを利用した遠隔地教育プログラムなども、アジア圏の大学とも共同して開発、運用するプロジェクトを進める計画である。 

■金型づくり人材交流プロジェクト 
−金型産業に関連する情報と関連人材データベースを一括運用し、各種セミナー・シンポジウムなどの運用をはかる。特に現場で働く方々を募って、日頃考えている課題を気軽に話し合う場を設定し、新しい課題を提言する。

■【役員構成】
理  事  長  黒田 彰一 黒田精工㈱ 名誉会長
副理事長 橋本 久義 政策研究大学院大学教授 
専務理事 細川 敏宏 e-金型研究所 所長   
理    事 牧野 二郎 ㈱牧野フライス製作所 社長
理    事 相澤 龍彦 トロント大学 教授 
理    事 横田悦二郎 黒田精工㈱ 取締役   
理    事 北村 弘志 ウイスマ・インターナショナル㈱ 社長
理    事 堀  信夫 ㈱山城精機製作所 社長   
理    事 山本 敏郎 日本ユニシス・エクセリューション(株) 社長
理    事 川下 英二 日立造船情報システム(株) 取締役
理   事 井戸  潔 (有)アイ・ディー・オー・デジタル出版 社長
監   事 伊藤 國吉 (株)セキコーポレーション 取締役

■【事務所】
★東京都文京区本郷4丁目12番16号 トーア文京ビル
大阪府大阪市北区曽根崎新地2丁目1番地23号
★電 話 090-4960-1496(井戸)
      090-5044-3809(細川)          
★e-mail idok@catv296.ne.jp

■ADMF事務局では、今回の記者発表のあと、積極的に個人会員、法人会員の募集を開始しました。NPOのミッションに同意と活動をしていただける方は上記の電話あるいはメールにてご連絡をお願いします。

■【内閣府ホームページ認証公告】 平成17年3月16日付け
http://www.npo-homepage.go.jp/ninshou/no10_ninshou.html#1853

<参考>【記者発表掲載サイト紹介】
★日経ものづくりONLINEメール  2005年4月25日 no.266  
▼金型産業に関するNPOが発足,中小金型企業や技術者を積極的に支援   
  http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20050425/104157/