2005年 IDOメルマガ納刊号にあたって

12月20日の日経産業新聞は、「金型業界に関する調査」結果を掲載しました。

”金型の国内回帰”、”自動車産業による業績回復”、”業績の二極分化”等々の分析結果がでています。

 金型産業はユーザー業界の新製品開発競争の盛衰で、業績が左右される宿命を背負っています。今年は各種業界の新年賀詞交歓会から景気の上向きを予想する久しぶりの雰囲気の良さを予感する年明けでした。

 今年の主役である自動車産業のほか、白物家電、携帯電話、薄型液晶TV等々、高級金型を必要とする製品でにぎわってきました。

この状況は工作機械、工具、鋼材、CAD/CAM等の金型加工をバックアップする関連業界も需要に応えられないといううれしい悲鳴も聞こえています。

 さて、来年もこの状況は継続してゆくでしょうか。多分、来年の賀詞交歓会も2年連続して業界のトップの挨拶は、今年の良い業績を喜び、来年もまだこの素晴らしい環境は続くだろうという挨拶が述べられそうです。

 しかし、確実に進行している事実があります。それは「グローバル化」という経営環境の変化や、後継経営者問題、更に韓国・タイ・中国・ベトナムというアジアの諸国がじわじわと日本の金型技術に迫ろうとしていることです。

 日本が誇りべき”匠の技”は、まず、高級工作機械の登場、ITによる”暗黙知から形式知”の取得により、その金型技術力を数値にたとえれば70%位まで到達して来たとみるならば、海外に出た日系ユーザーが目指す「現地調達」は駆け足で進んで行くでしょう。

景気が良いことは喜ばしい。その現象とは別に中期・長期の日本のトレンドも本当に喜ばしい状況が伴奏者として走っているでしょうか。

あと、今年も数日を残すですが、日本の製造業の本当の強さと弱さの本質的な分析とそれに基づく解を求めてゆくべき来年にして欲しいと願うものです。

この1年100回分のIDOメルマガをお送りいたしましたが、来年も黙々と良い情報とそうでない情報をない交ぜにしてお伝えします。この1年のご支援に感謝いたします。