2月22日 インドネシアに金型工業会設立

初代会長は日本人が就任
 2006年22日に、インドネシア金型工業会(Indonesia Mold & Dies Industry Association)が設立された。この設立総会に出席した㈱ファインクロダ社長の横田悦二郎氏に設立の背景、目的や工業会の特徴等について聞いた。当日、横田氏は「日本及び東南アジア各国の金型技術最新動向」と題して記念講演を行った。
 インドネシア金型工業会の発足が、アジアの工業会の中でも異例とも思われる経過と役員構成となっているが、会長には高橋誠氏(PT.k.M.K.PLASTICS IDNESIA)が就任したように、インドネシア進出の日系企業が全面的に支援して設立された。
 会長の高橋氏は設立の目的について、インドネシアのサポーティング・インダストリー発展に貢献する、技術者の人材育成、日系企業の金型調達が95%もの輸入に依存していることから10年以内に50%くらいまでにすること等を目指したいとその抱負を語っている。
 なお、会長には高橋誠氏、副会長にはジャヤジ・ウイカラ/仲安吉成(タカギ・サリ・マルチ・ウタマ社)、事務局長には谷川逸夫(松下ゴーベル教育財団)が就任した。
 横田氏は、インドネシア金型工業会の特徴について以下のように指摘している。
(1)この金型工業会の会長には、長野県の金型企業の子会社として設立されている現地金型企業の社長である日本人が就任したことである。これまでアジアの金型工業会であるマレーシアやフィリピン、タイでは中華系の社長がその国の会長に就任することはあったが、国籍が違う人が会長に就任することはなかった。
(2)設立された工業会の正会員に最終製品を作り出すセットメーカが加わったことである。
 日本の金型工業会の正会員は「金型専業者であること」と決められており、工作機械メーカや材料メーカは正会員で無く「賛助会員」として参加している。日本以外の金型工業会の正会員は、金型を使ってプレス部品やプラスチック部品を製造する部品加工企業や、金型業界に様々な設備や材料等を販売をする商社企業も含まれてはいるが、最終ユーザであるセットメーカが加わることは無かった。
 なぜならば、金型を製造する側とそれを購入する側とは、発注側とそれを受ける側が同居すれば、当然ながら発注側が運営や会議での主導権を持ち、金型企業は工業会で強い発言権が得られないという考え方からであった。
(3)金型工業会の事務運営が進出日系企業及び現地駐在日本人が中心になって行われることである。理事・監査役13名の内、5名が日本人である。このことも又、世界では稀な現象である。国が認めたその国の工業会運営を外国の企業や人達に委ねることは、その運営に様々なリスクがともなうばかりでなく、現地企業がより積極的に工業会に参加するための障害になることにも繋がり、工業会の発展が望めない危険性を伴う。
(4)参加した金型工業会会員の半数が日系企業で占められていることである。海外の金型工業会でも最近のグローバル化に伴い海外の企業が参加することはあっても、今回のインドネシア金型工業会のように一カ国の外資企業が半数を占めることは無かった。