経済産業省/厚生労働省/文部科学省

   2007年版ものづくり白書公表

 経済のグローバル化が進展する中で、我が国製造業は、世界規模での最適機能分業を志向しながら積極的に海外展開を進めているが、その結果として国内製造業が空洞化するのではなく、海外拠点と国内拠点が相互に補完関係を構築しながら、我が国経済は戦後最長となる息の長い景気拡大を続けている。
一方、団塊世代が定年期に差し掛かる大きな節目を迎える中で、企業は熟練労働力の退職とこれを代替する労働力の確保という大きな課題に直面しており、我が国製造業を支えてきた高度なものづくり技術・技能の喪失が懸念されている。こうした状況から、ものづくり基盤技術の継承は、我が国経済の発展にとって重要な課題となっている。
 今後とも、ものづくりの基盤技術を維持・発展させるためには、ものづくりに携わる人々が誇りを持って仕事に取り組むことができ、次代を担う若者や子供たちが将来の仕事としてものづくりに関心を持てるような社会の実現を目指し、その積極的な振興を図っていくことが必要である。
第一章
 経済のグローバル化に伴い、我が国製造業の対外直接投資が進展しているが、海外現地法人による我が国からの部素材調達、マザー工場の国内立地等を通じて、我が国経済が活性化している状況を明らかにしている。その上で、国内拠点の更なる機能強化に向けた課題として、
1)立地環境の整備、
2)イノベーションの促進、
3)技術管理の強化、
4)感性価値の創造
の四点を取り上げ、今後の在り方を展望している。
第二章
 団塊世代の大量退職に備えた人材育成環境の再構築の観点から、ものづくり労働者の雇用・労働の状況を明らかにするとともに、技能継承と現場力の維持・向上に向けた製造企業の取組状況を分析している。また、労働力供給の制約が厳しくなる中で、女性や若年者を積極的に確保・育成している先進的な取組事例を紹介し、多様な人材の確保・育成に向けた環境整備の重要性を指摘している。
第三章
 第3期科学技術基本計画において推進4分野の1つに位置付けられた「ものづくり技術」分野の推進や、大学と企業との共同研究など産学官連携の強化について記述している。また、改正教育基本法の理念も踏まえ、各学校段階ごとに職場体験などを通じたものづくり教育を推進するとともに、大学、高等専門学校においてのづくりを支える高度な人材を育成することなどに言及している。
(本年次報告では、ものづくり基盤技術振興基本法第8条にもとづき、政府が「ものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策」に関し報告することになっているところ、上記状況に鑑み、第一部においては、ものづくり基盤技術がその発展を支えるべき製造業の現状と課題について広く分析を行うものとする。 
【2007年版ものづくり 目 次】
http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g70601a01j.pdf
第1部:我が国ものづくり基盤技術の現状と課題
第1章:グローバル経済下における国内拠点の強化に向けた課題と展望
第1節:我が国製造業の概況と経済における位置付け
第2節:我が国製造業の海外展開の現状と国内拠点の役割
第3節:国内拠点の機能強化に向けた課題と展望
第4節:主要製造業の課題と展望
     <13 金型・素形材産業 pp131-134>
     http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g70601a05j.pdf
第2章:ものづくり人材育成環境の再構築
第1節:ものづくり労働者の雇用・労働の現状
第2節:団塊世代の大量退職に備えた人材育成
第3節:多様な人材が支えるものづくり基盤
第3章:ものづくりの基盤を支える研究開発・学習の振興
1節:産業力強化のための研究開発の推進
第2節:ものづくり人材の育成
第2部:平成18年度においてものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策