2005年 会長年頭所感


           **年頭所感 (社)日本金型工業会 会長 上田勝弘

 明けましておめでとうございます。
 昨年中は当金型工業会に対し多大の御理解と御協力を頂きましてありがとうございました。
 日本金型工業会も発足以来昨年48周年、法人化10周年を無事迎えることが出来ました。又、その記念式典をも11月2日キャピトル東急ホテルで多数の会員の皆様と関係者の皆様に御参加頂き盛大に挙行出来ました事は、金型工業会の重大な使命を内外に再認識して頂いた事と思っております。
 知的財産権の問題と下請法の改正や大阪インターモールドの開催、日韓金型フォーラムの開催等々がんばる金型宣言のもとに10,000余社の日本の金型産業を代表する唯一の全国組織としての存在意義を行動と実績によって徐々にではありますが進めております。又、金型産業を取り巻く経営環境も万全とまではいかないにしても受注量の回復も見られ、高速化・精密化への投資も過去2,3年前に比べて活発化しているのも事実であります。
 しかしながら物作りの原点は人財の優劣にあります。これは世界の共通課題ですが日本には金型のエキスパートやジネラルマネージャーを養成する機関がありません。韓国や中国、シンガポール等には大学の金型学科や専門大学、技能大学、高等学校に至るまで物作りの原点である金型教育を国家的事業として力を入れております。
 日本の金型技術は現時点では優位性を持っておりますが長いスパンで見ると外国の金型教育の効果は徐々に、素形材作りの技術向上として表れており日本の優位性はこのまま将来にわたって持続する事は難しいでしょう。遅ればせながら今こそ国家的見地に立って金型教育機関を充実させるべきであり、まずは4年制大学に金型学科を国立、私立を問わず設置してもらう様、日本金型工業会が推進軸となって進めて参りたいと考えておりますので何卒関連業界の皆様、御協力の程お願い申し上げます。
がんばる金型宣言は政治で言うならマニフェストであり一歩一歩着実に実現することが大切であります。本年も会員各位の御健闘を祈念申し上げます。

平成17年 年頭所感 社団法人日本電機工業会会 長 森下洋一

 平成17年の新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。年頭にあたり所感の一端を申し上げ新春のご挨拶とさせていただきます。 ・はじめに  我が国の経済は、企業収益が改善し設備投資や個人消費が増加しているものの、輸出と生産は弱含んでおり、景気回復の継続に一部弱い動きがみられます。先行きについても、国内民間需要が増加しているものの、原材料および原油価格の高騰が内外経済に与える影響や世界経済の動向等には留意する必要があります。 当工業会の会長に就任して初めての正月を迎えましたが、これまで大変厳しい状況にありました私ども電機業界も、景気回復に対応して、ようやく業績回復の兆しが現れて参りました。今年はこの流れを本格的なものに発展させたいと、新年を迎え、改めて決意を新たにしているところです。 ・電機業界の概況と主要課題への取り組み  重電分野では、電力会社の設備投資や公共投資などの抑制が継続している中で、民間設備投資は増加しており、特にFA・汎用電機品は、生産性向上を目的とした合理化投資や老朽化設備のリプレース、省エネ化により、製造分野向けが堅調に推移しています。  更に、中国・アジア諸国の経済活動の活発化や米国経済の回復等もあり輸出が牽引となって、2004年度の重電機器生産額は、7年ぶりに、前年を上回る見通しです。今後も海外、特に成長の著しい中国やアジア、米国に対する輸出が更に拡大することを期待しております。  家電(白物家電)分野では、昨年は“猛暑効果”によりルームエアコン、冷蔵庫の国内出荷が大幅に増加したことに加え、高齢化や共働き世帯の増加などの社会構造やライフスタイルの変化により、洗濯乾燥機、食器洗い乾燥機、クッキングヒーターといったユーザーニーズに合致した新規・高付加価値商品が好調に伸長して需要が拡大しました。その結果2004年度の家電機器国内出荷額は、4年ぶりに前年を上回る見込みです。今後も引き続き、景気回復による消費マインドの改善により需要拡大が継続することを期待しております。  年頭に当たり、電機業界が当面する課題のうち、主要課題3点「エネルギー問題への取り組み」「地球環境問題への取り組み」、「国際市場への対応強化」について申し述べます。 1.エネルギー問題への取組み  わが国のエネルギー政策の基本は、「安定供給の確保」、「環境との適合」、「市場原理の活用」の三つの課題をバランスよく達成することです。この課題についての検討結果が、昨年10月に総合資源エネルギ−調査会需給部会で「2030年のエネルギー需給展望(中間とりまとめ)」としてまとめられました。  電機業界では、重電機器や家電機器の省エネルギー化を推進するとともに自給率の改善と電源の分散・多様化のために、安全確保を大前提に原子力発電を推進するとともに、火力・水力発電の高効率化、新エネルギーの実用化・普及を推進して参ります。   特に新エネルギーにつきましては、2003年4月より、RPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)が施行されておりますが、当工業会としても燃料電池太陽光発電風力発電などの新エネルギーの実用化・普及推進に注力しております。  燃料電池は、昨年、国が策定した「新産業創造戦略」の中で「先端的な新産業分野」の一つとして位置付けられており、家庭用コージェネとして注目されている固体高分子形燃料電池の実用化と導入促進に向けて、信頼性向上やコストダウンなどの実用化のための技術開発を進めて参りましたが、今年、実用機が市場に導入される予定です。また、最近注目され始めた携帯機器用超小型燃料電池についても国際標準化や規制適正化等の活動を推進して参ります。  太陽光発電は、順調に普及しており、昨年度の我が国の発電素子の生産量は世界マーケットの約半分のシェアを占め5年連続世界トップにあります。太陽光発電に係わる国内外の認証制度の定着等、世界を視野に入れた諸施策を着実に推進して参ります。  風力発電も、設備の普及が急速に進みつつあり、国内・国際標準化活動を通して、我が国の風況・自然に適合した風車の開発や小型風力発電システムの安全基準の整備等の活動を推進して参ります。 2.地球環境問題への取り組み  まず、地球温暖化防止については、昨年の国の審議会における、地球温暖化対策推進大綱(新大綱)の第1ステップ(2002〜2004年)の見直し評価を受けて、本年は新大綱の見直しや省エネ法の改正が行われます。また、昨年のロシアの京都議定書批准により本年2月には同議定書が発効し、地球温暖化対策推進法が施行され、地球温暖化防止対策の推進が強く求められます。産業分野では自主行動計画の透明性、蓋然性が、民生や運輸分野では大幅な炭酸ガス削減のための対策が必要となります。  当工業会では、製造段階の省エネルギー推進に関する自主行動計画を策定し炭酸ガスの削減に取り組むと共に、民生(家庭)分野において、世界最高レベルの省エネ家電製品の開発と普及を積極的に推進して参ります。  循環型社会構築については、EUではWEEE(廃電気・電子機器リサイクル)指令やRoHS(有害物質使用規制)指令が施行され、REACH(新化学物質規制)指令やEuP(エネルギー使用製品エコデザイン規制)指令が議会で審議されております。また、中国や米国でも同種の法規制が検討されています。国内では、2006年に家電リサイクル法の見直しが行われますが、当工業会は製品含有化学物質、環境適合設計、家電リサイクルなどに関する法規や制度の見直し検討に参画して参ります。  当工業会では、「電機産業の活力を維持・向上しつつ、事業活動に伴う環境負荷低減を推進すると同時に、ライフサイクル全体での環境配慮製品を創出する」という基本理念に則り、省エネルギー温室効果ガス削減等の地球温暖化防止、産業廃棄物削減や有害大気汚染物質削減の自主行動計画を積極的に推進するとともに、環境配慮製品の創出・普及にむけて、環境適合設計とその評価方法、情報開示の在り方などの検討に積極的に取り組んで参ります。 3.国際市場への対応強化  これからの重電分野の主な国際市場としては、アジア、特に中国における電力設備、交通システム等の社会インフラと米国における電力設備が挙げられます。3年後に北京で開催されるオリンピックに向けて、中国経済の一層の発展が予想される上に、現在でも上海や広州等の大都市部における電力不足が問題となっており原子力、火力、水力発電の大規模な設備投資計画があります。米国においては、発送電設備の整備・更新が進められる中で原子力発電所の建設再開の動きも見られます。家電部門では、特に中国への生産移転が一層進展し、中国からのアウト・インの増加が予想される一方、経済発展に伴い高級家電市場としての成長が期待されます。  このような市場で勝ち残るためには、更なる国際競争力の向上が求められます。そのためには、内外企業との戦略的連携等による事業の再構築、SCMやIT活用等による競争力強化、新技術・新製品の開発と新規事業の開拓を中心とした高付加価値の創出、知的財産に関する戦略的取り組み、規格、基準等の国際標準および適合性評価システム構築の推進等を更に進める必要があると考えております。  また一方で、現在、日本、アセアン、中国、韓国を含む東アジアにおいて、将来的には東アジア経済共同体も視野に入れたFTA自由貿易協定)/EPA経済連携協定)締結の動きが活発化しています。これらのFTA/EPAの進展に伴って、アジアでの企業戦略を見直す必要があります。即ち、それぞれの企業では自由貿易域内での輸出・販売機能・体制の強化、域内で重複する生産拠点の集約化、相互供給・補完体制構築、現地市場向け製品の設計開発機能強化、地域統括機能強化といった全社最適の視点での地域戦略を構築することが必要となって参ります。当工業会でも、これらアジア地域の国々と、相互に統計、規格・標準、環境規制等の情報を共有するため、各国の電機工業会との交流を推進しております。例えば中国とは一昨年に家電関係、昨年は重電関係の工業会とそれぞれ友好協定を結びましたが、今後も業界全体の国際事業展開のための支援活動を積極的に推進して参ります。 ・おわりに  私ども電機業界は、世界経済が上向き基調にある中、業績の回復を確かなものとするために、上記をはじめ、重要課題に積極的に取り組んで社会的責任を果たして参ります。   昨年11月には、半世紀振りに当工業会の新会館が竣工致しましたが、これを良い契機として気持ちを新たにして、これらの諸課題に一丸となって取り組み、更なる業界の発展を目指して努力して参る所存であります。

平成17年 年頭所感 (社)日本工作機械工業会 会長 大西  匡

昨年の工作機械業界は、5月から1000億円台の受注が続くなど、近年、稀にない好景気に沸きました。  これは、自動車産業の設備投資とアジアへの輸出が堅調に推移したこと、さらに幅広い業種の中小企業が、生産能力の増強や老朽設備の更新に着手したことによるものである。  加えて、11月に開催されたJMTOF 2004の総来場者数は前回比25%増の14万7251人、海外来場者数は同70%増の1万1416人と共に過去最高を記録し、来場する顧客も従来になく真剣な眼差しで設備投資を検討されていた。また、技能五輪全国大会上位入賞者による加工実演等3つの企画展示は、モノづくりの楽しさ、喜びを多くの来場者に伝えることができたと思う。  以上のことから、2004年の工作機械受注額は前年比約4割増の1兆2000億円強と見込まれる。  本年の日本経済は、調整局面への突入が懸念されているが、工作機械需要はマクロ景気の懸念材料とは関係なく拡大の厚みが増している。  すなわち  ①グローバル経済下における国際競争力強化のための設備投資  ②自動車産業などが取り組んでいる世界規模での生産能力増強と環境対応投資  ③老朽設備の更新や合理化投資の本格化 の3点である。  海外に目を転じると、アジアでは中国の経済成長が巡航速度に落ち着けば、引き続き好調を維持すると思われる。欧州景気は回復局面に転じ、米国では設備投資や個人消費が堅調に推移すると考える。  以上のことから、本年の工作機械受注額も1兆円を上回ると予測する。  このように現下受注が好調で、業界は繁忙を極めているが、われわれ工作機械メーカーは、品質と納期で顧客へ絶対にご迷惑をかけないという心構えで、気を引き締めて日々の業務に取り組んでいる。  とくに品質に関しては、どれだけ忙しくなっても、これまで以上に意識を高めフォローを充実し、世界一の工作機械生産国の名にふさわしい高品質を常に保たれるよう、会員各位に強くお願いしている。さらには、この好景気に浮かれることなく兜の緒を締め、今後も常に世界を凌駕する技術とサービスで、世界のモノづくりをリードしていく所存である。  本年も関係各位には、こ指導、ご鞭撞とさらなるご協力を賜るようお願い申し上げるとともに、本年が皆さまにとって、さらなる飛躍の年になることを祈念する。                    (商経機械新聞1月1日号より転載・許可済み)